水処理装置

東洋バルヴコラム - TOYO VALVE Column

染色排水処理について

2021.12.08

立冬を過ぎ、朝ごとに冷気が加わるこの頃、身も心も引き締まります。初霜の便りも聞かれる中、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、今回のコラムでは染色排水処理について掲載します。

 

排水の規制

水環境における汚染原因の一つとなる産業排水は国が定める水質汚濁防止法によって排水基準が設けられています。また、自治体別ではその排水基準に上乗せする基準を設けており、それらの規制によって現在の水環境が保全されています。

昨今では、世界的にSDGs(持続可能な開発目標)として、安全な水の提供や海洋資源を守るといった目標が掲げられており、排水に関わる規制は年々強化の動きをみせています。直近では平成24年に新たに1.4-ジオキサンという特定物質が新たに追加され、今後も厳しい規制が加わっていくと予想されています。

また、企業動向としても自主的に化学物質や抗生物質を流出しないように設備改良を検討し始める動きが見受けられます。世界的な目標や行政からの規制など、今後も水を取り巻く環境は変化し続けていくものと考えられ、企業としてより一層の努力が求められます。

 

染色業界における水処理

 染色分野における排水には難分解性有機物、窒素、色度成分が含まれており、そのまま排水すると生態系への影響や景観上問題があるとされ、適切な排水処理が必要となります。
なお、排水水質基準のベースとなる水質汚濁防止法においては色度の制限は一部の自治体(川崎市、和歌山市)を除いて規制がありませんが、当然出来るだけ脱色した排水にすることが求められています。

 

着色排水へのオゾン利用

 着色排水はその成分や濃度によって様々な手段が用いられています。その一連の処理工程の中で脱色工程にはオゾンが利用されるケースが多くあります。
オゾンは非常に強力な酸化性物質であり、この作用を利用することで、効率よく脱色処理ができます。また、オゾン酸化処理後、さらに活性炭処理を行うことで雑用水として再利用するまで水質改善をして利用する例もあります。

 オゾン酸化のもう一つのメリットは、副生成物がほとんどでないと言うことです。基本的にオゾンや促進酸化では、薬品に起因する塩素等の化合物である副生成物が出来ないので、自然に優しい処理と言えます。

 

ピュアキレイザーでの脱色作用

 染色工場排水の試験結果を紹介します。某染色業界工場より採水したサンプル水を試研究用試験装置で処理したところ、装置稼働直後から効率よく脱色されほぼ無色透明にまで改善できることを確認できました。(グラフ1)

【 試験条件 】
試験装置 ピュアキレイザー ZPV13-40(オゾン発生量 6.0g/h)
試験水量 40L


■参考文献
海賀信好、オゾンと水処理 2008
和田洋六、用水・排水の産業悦水処理技術 2011
日本オゾン協会、オゾンハンドブック[改訂版] 2016

新型コロナの感染が驚異的なスピードで収束しており、徐々に日常生活に戻りつつありますが、年末に向けて気を抜かずに頑張って行きましょう。

 

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